ナンでもやらなきゃいけないと

 承知はしていても筆が進まぬ(現代ではキーボードで入力なのだが)ひと月が、あっという間に過ぎ去って、郷里ではお盆の15日夜、著者校正をPDFファイルにして戻し、今回の仕事がやっと済んだ。
 折りしも、竹島には韓国大統領が、尖閣諸島魚釣島には中国人活動家が、それぞれ上陸して、日本政府の自国領土への対応に関心と注目が集まった。今回の原稿はまさにそれに関することで、企画の段階では、メドベージェフ・ロシア首相の北方領土上陸もまだ実行されていなかった。事態の進展は急だ。
 自分も含めて、問題解決の妙案を思いつかないとき、誰かその問題についてよく知る専門家に、現在ただいま起こっていることのわかりやすい解説を求めるものだ。そこで、そもそも日本は古代より、などと根本から説き始められると、なんとまどろっこしい、とイライラしてしまう。
 困ったことに(?)、そのころ僕が入力を進めていたのが、「『漢書』地理誌にみえる当時の日本(倭)は・・・」などという、紀元前から今日までの日本人の国境意識・領土観の変化、および領土の拡大してゆく様の、時系列に沿った概略の解説と考察だから、性格にも因るのだろうが、自分でもまどろっこしくて仕方がなかった。しかし、自分のためにも良い復習になったし、新たに調べたことについては、興味深い考察も多かったから、勉強になった。そもそもはどうなんだ、と歴史を遡って見てみたい人にとっては、いくぶんか有用な読み物になっているのではないだろうか。自分の説明能力と許された紙数の関係には、毎度頭を悩ますところだが。
 とにかく、今回の仕事も、順調ではなかったにせよ、とにかく終わり、昨日、今日と、その間に依頼されてペンディングにしていたことや資料の返却やら片づけやらをゆっくりと進めた。心は軽くなった。