目に留まったので

久しぶりにオークションの万年筆のページを開けてみていたら、古いパイロットエリート・長軸・金属キャップのペンが出ていた。商品説明を読むと廃業した文具屋さんのデッドストック品のようで、本体もペン先(14K)も画像では文句なしに綺麗であった。ペン先はF(細字)のようだ。

めでたく1,200円で落札した。10日に月島の鍛冶屋の友人のところに久しぶりに行ってみることにし、出掛けにポストをのぞいたらこの万年筆が届いていたので、封筒のままリュックに入れて月島へ行った。友人とは話が弾んで、最近何して遊んでる、という話から万年筆の話となり、ウォーターマンの2本と純正革ペンシースを見せて、ウォーターマンを買う元となった故A先生や高弟のTさんの話などしていたら、友人が「実は帳簿つけるのに万年筆が欲しいなと最近考えてるんだ」というので、届いたばかりのパイロットエリートがあるのを思い出し、そんならこれあげるよ、使ってみて、と言って差し出した。いや、いいよ、いいよ、と言っていたが、手に持って重さやフォルム、コンバータのメタリックな耀きなどを見ていたら、「いいなあ、これ。欲しくなったなあ」と気が変わり、これと交換にしてくれ、と自分が打った諸刃の小刀を新聞紙にくるんでくれた。それが下の画像の右側のタイプ。工夫の結果、先代の作よりやや薄く出来るようになったものという。くるむ前に朴の細板(友人が模型飛行機製作用に買っておいた虎班の20年もの)でちょっと削り味を試させてもらったらするりするりと滑らかに実によく削れた(画像はwebより借用したが、多分同タイプの先代のものか)。

鍛冶屋に来て、持ってるものと刃物を交換するというのはどこかで聞いた話だな、と二人で「わらしべ長者かよ」と大笑いだった。僕は何も代わりに欲しいとは思わなかったが思わぬ役に立ってよかった。京橋のパイロットも近いから、インクの入れ方やカートリッジに代えられるか、そこで聞いてみるよ、と言っていた。自分でそこに買いに行こうと思っていたが、これまでなかなか行けなくて、とも言っていた。程好く書けるといいのだが。
友人と最高裁近くに良い桜があるとか、○秀さんにあんた手が汚いね、といわれた話やら色々示唆に富んだり、楽しみを増やしてもらったりする話やらをしているところへ、「鑿を見せてもらえますか?」と学生風の二人の男の子がきたので「じゃあ、また」と帰った。
帰ってから思いついてネットで調べてみたら、友人が新聞紙にくるんでくれたのは、なんと僕が落札した万年筆が15本近く買える値段のついた小刀であった。