何本か書けないままのペンがあったのだが。

ヤフーオークションで3000円ほどで落札してしまって、届いて水洗いし、手持ちのスペアインクを差し込んでみたら、ぜんぜん合わなかったプラチナ万年筆・金属ボディー・少し太い軸・18金ペン先・usedだが、一体どうすれば普通の万年筆のように書けるようになるのか、わからなかった。ぼんやりと、専用のコンバーターでもあるのかな、と思っていた。そうしたところに、一昨日、ウォーターマン・クルトゥールがインク切れしたので、ヨーロッパ標準、という言葉を思い出し、ルス社のペンのおまけで戴いたブルーのカートリッジを差し込んでみたら、当たり前のようにぴたっと嵌まってくれた、ということがあった。ちゃんとインクが出る、書ける。当たり前、というのはうれしいもんだ。
あれ、ちょっと待てよ、と、空になったので捨てようとしていたウォーターマンのカートリッジをじっと見て、件(くだん)のプラチナ万年筆のカートリッジ差し込み口と見比べ、これは似ているな、と思ったので差し込んでみたら、がっちり嵌まった。あっ、そうだったのか、と、やっとわかった。
で、図書館に行くついでにパルコのなかの文具屋に行き、ウォーターマンのロングのブルーブラック、セーラーのブルーブラック、プラチナのコンバーターを買って帰った。
プラチナ太軸に期待を籠めてウォーターマン新品カートリッジを差し込んでみると、やっぱりぴったり。スラスラ書けるようになった。細字の書き心地もとてもよい。重さも太さも良い。新品カートリッジが入った状態で20.2グラム。どうもクリップ部分の表面板メタルが外れているみたいだが、まあ書くのには不自由ない。そのうち唐木ででも作って嵌めてやろう。


この前に、2本目のセーラー21K・中字を1000円で手に入れたのだが、中でインクが固着しており、どう頑張ってもインクの道が通ってくれない。ぬるま湯に浸していたら、初めに赤黒い錆いろのような、醤油のようなにじみが水中に少し出ただけで、後は何も溶け出してこない。一週間、水やぬるま湯を取り替えながら、吹いてみたり吸ってみたりしたが、どうにもならない。頭がふらふらして、顔が真っ赤になるだけ。
ウェブで調べたり、以前譲って頂いた方の説明を思い出したりして、こうなったら超音波洗浄器だな、と送料込み2800円ほどの中古を落札した。これがホントに美品でうれしかった。
ウェブで読んだ注意書きなどを思い出し、洗浄を何度か繰り返してみたら、ペン先とカートリッジ差し込み口から、もくもく・もやもやといった感じで、黒い煙のようなものが水中に広がりだした。
さらに何度か繰り返して、流しでぷうっと吹いてみたら、みごとにピューっとペン先から水が出た。
それを何回か繰り返し、再度超音波洗浄にかけてみたら、非常に短く細い針のような埃のような汚れが出てきた。水を取り替え、それが出なくなるまで洗いを繰り返し、拭き上げて乾かし、カートリッジを入れてみたら、これまでのことがウソのようにスラスラとインクが出てきた。これがまた滑らかで書き良い。半年前に買ったプラチナポケットの中字で出の悪いものがあるから、これも超音波洗浄をかけてみようと思う。

これで、入手したすべての万年筆がちゃんと書けるようになった。ほっとした。

しかし、上記のプラチナ太軸万年筆はなぜヨーロッパ標準のカートリッジ適合なのだろうか?
おかげで頭をだいぶ悩ませてしまった。昔の輸出用なのだろうか? 初心者の僕には名前もタイプも年代も、まるで分からない。まあ、何時か分かることもあるだろうが。